想定外のケガに備える保険
損害保険
私たちには病気になるリスクだけでなく、突発的にケガをするリスクもあります。突然ケガをして治療費が必要になったとき、家計の負担が心配になる人も少なくないのではないでしょうか。そんなときに考えられるのが、ケガに備える保険への加入です。ケガをしたときの治療費の負担を軽減してくれるものがあれば、検討してみてもよいかもしれません。
そこで今回は、ケガに備える保険と、ケガに対応できる特約について解説します。
目次
思いがけないケガの治療費、どうすればいい?
私たちの日常生活では、思いがけないケガのリスクがあります。例えば、自転車に乗って転倒する、階段を踏み外して転落する、雪道で転倒する、仕事中やスポーツ中にケガをするなど、日常生活の中では、あちこちにケガの危険が潜んでいます。そして、ケガの程度が病院で治療を受けなければいけないくらいのものだったら、どうすればいいのでしょうか?想定外の出費はとても心配になります。
公的医療保険の対象となるケガ治療は多いが…
日常生活で起きたケガは、労災保険※の対象となる業務上の災害(仕事中のケガ)などの例外を除き、多くの場合は公的医療保険を使って治療をすることができます。公的医療保険を使えば、治療費の負担は自己負担割合のみで済みます。
※労災保険の対象となる場合、原則自己負担なしです
未就学児 | 2割 | |
---|---|---|
小学校入学後~69歳 | 3割 | |
70歳~74歳 | 一般 | 2割 |
現役並み所得者 | 3割 | |
75歳以上 | 一般 | 1割 |
現役並み所得者 | 3割 |
出典:厚生労働省「医療費の自己負担」を参考に作成
しかし、公的医療保険を利用しても、ある程度は自己負担割合分の出費が発生します。そのため、自己負担分が家計に影響を与えることもあります。そんな場合に備えて、民間の保険に加入したり貯蓄をしたりして、想定外の出費に備えた対策をしておくと安心です。
ケガによる通院に備えるには
ケガによる通院に備える保険といえば、「傷害保険」を思い浮かべる人も多いかもしれません。傷害保険とは、急激・偶然・突発的に起きた事故によってケガをして、入院・通院・手術・死亡・後遺障害となった場合に保険金が支払われる保険です。普通傷害保険と交通事故傷害保険があります。普通傷害保険は自宅内でのケガ、外出中のケガ、仕事や通勤途中でのケガ、スポーツ中のケガ、交通事故によるケガなどを幅広く補償します。一方、交通事故傷害保険は、車や電車などの交通機関を使ったときのケガに限定した補償になります。
3割の自己負担分がカバーできる特約も
ケガの治療を受けた際は、公的医療保険を利用しても自己負担分の出費が発生しますが、傷害保険のケガ通院補償は「通院1日あたり3,000円」などの定額払いになっているのが一般的ですので、治療の内容によっては病院へ支払った治療費をカバーしきれない場合も考えられます。しかし、生命保険や医療保険の特約の中には、特定のケガと診断された場合に一時金が受け取れるものや保険診療の自己負担分(3割相当)をカバーできるものもあります。代表的な2つの特約、「特定損傷特約」と「傷害入院治療保障特約」について紹介します。
特定損傷特約
不慮の事故に遭った日から一定期間内に骨折、関節脱臼、腱の断裂、熱傷、永久歯の喪失による治療を受けたとき、一時金として特定損傷給付金が受け取れる特約です。診断を受けた時点で給付金の支払い対象となるので、治療中に給付金の請求が可能です。
傷害入院治療保障特約
公的医療保険の対象となる「保険診療」の医療費は点数制になっていて、個々の技術やサービスのそれぞれが点数化されています。この点数を「診療報酬点数」といいます。医療機関等は診療報酬点数1点あたり10円で計算された金額を報酬として受け取りますが、このうち7割にあたる7円が公的医療保険から支払われ、残りの3円が自己負担額になります(自己負担割合が3割の場合)。
傷害入院治療保障特約は、不慮の事故によるケガをして公的医療保険の対象となる入院をしたとき、入院中の療養にかかる診療報酬点数×3円を受け取れる特約です。つまり、上記の自己負担分がカバーできる特約ということになります。
具体的なケースで見てみましょう。
仮に、不慮の事故によるケガをして公的医療保険の対象となる入院をし、1万点相当の保険診療を受けたとすると、医療費の総額は
1万点×10円=10万円
です。自己負担額が3割なら、7万円が公的医療保険から支払われ、自己負担分は3万円ですね。
このとき、傷害入院治療保障特約を付加していると、
1万点×3円=3万円
を受け取ることができ、ちょうど自己負担分をカバーできるというわけです。保険診療であれば、入院日数にかかわらず、かかった治療費の自己負担分に応じた金額の給付金が受け取れるため思いがけず入院が長引いてしまった場合などにも備えることができます。
まとめ
公的医療保険の対象となるケガによる治療でも、医療費が家計を圧迫する場合はあります。いざというときの家計の負担を軽くしたいとき、あるいは突発的なケガに対する備えをしておきたいときは、ケガに対応できる保障になっているか、確認してみるとよいでしょう。