明治安田の責任投資
責任投資の推進
責任投資に対する基本方針
当社はESG投融資およびスチュワードシップ活動を両輪とした「責任投資」の基本的な方針として、「ESG投融資方針」および「スチュワードシップ責任を果たすための方針」を定め、責任ある機関投資家として適切に行動する姿勢を明確にするとともに、持続可能で希望に満ちた豊かな社会づくりをめざしています。
2020年4月には責任投資の専門部署として「責任投資推進室」を設置のうえ、2024年4月には同室を「責任投資推進担当部」に改編し、責任投資の取組推進とさらなる高度化に向けて態勢を強化しています。
また、2021年7月には、サステイナブルな社会づくりへの貢献に向けて、CO2排出量の削減にかかる目標を設定しました。パリ協定の目標との整合性に留意しつつ、脱炭素社会の実現に資する投融資ポートフォリオへの移行をめざします。
責任投資活動報告書
当社の責任投資に関する取組みをステークホルダーのみなさまにご報告することを目的として、「責任投資活動報告書」を公表しています。
- 責任投資活動報告書2024(PDF 6.11MB)
- 責任投資活動報告書2023(PDF 8.74MB)
- 責任投資活動報告書2022(PDF 5.67MB)
責任投資推進態勢
ESG投融資や投融資先企業との対話に関する取組みは責任投資推進担当部が中心となって方針策定、高度化に取り組んでいます。
責任投資推進担当部から各運用資産の担当部署には責任投資の動向を共有しているほか、責任投資の取組実績・推進状況を委員会等の会議へ報告しています。
委員会や経営会議・取締役会では、報告内容を検証するなど、適切なPDCAを通じた全社的な取組みを推進しています。

重要取組テーマ
「ステークホルダーへの影響度」「事業との関連性」をふまえ、2024年度から当社の「優先課題(マテリアリティ)」を見直し、「機関投資家としての責任投資を通じた持続可能な社会づくり」を優先課題の1つに加えています。これをもとに責任投資においては以下の5つの重要取組テーマを設定して、重点的に取り組んでいます。

気候変動への対応
当社は、責任ある機関投資家として、資産運用において脱炭素社会の実現に貢献する取組みを推進しており、2021年7月には、CO2排出量の削減にかかる目標を設定しました。パリ協定※2の目標との整合性に留意しつつ、脱炭素社会の実現に資するポートフォリオへの移行をめざし、グリーンボンドや再生可能エネルギー発電事業への投融資に加え、トランジション・ファイナンスなどに積極的に取り組んでいます。
また、CO2排出量上位の投融資先企業等に対しては、石炭火力関連事業等の事業転換計画を把握のうえ、当社単独での活動に加えて、他の投資家との協働にも取り組むとともに、運用委託先にもエンゲージメント活動の実施を要請することにより脱炭素化を後押しする取組みを推進します。
投融資ポートフォリオのCO2排出量削減に向けた取組み
CO2排出量削減計画
2022年度実績 |
2030年度目標 |
2050年度目標 |
|
---|---|---|---|
総排出量※3※4 |
△46% |
△50% |
△100% |
インテンシティ※5※6 |
△44% |
△49% |
△100% |
(2022年度実績は2024年4月22日時点のデータによる算出)
※22015年12月に開催された「第21回気候変動枠組条約締約国会議」で採択された、気候変動の抑制に関する多国間の国際協定。世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑えるため、21世紀後半に世界全体の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにすることをめざすもの
※3CO2排出量の計算方法

※4国内上場企業の株式・社債・融資を対象(Scope1+2)
※5総排出量÷投融資残高。当社投融資残高の大小・増減に影響されず、企業の実質的な削減実績を反映できる指標
※6国内・海外上場企業の株式・社債・融資および不動産(投資用物件)
ESG投融資の取組み
ESG投融資方針
「確かな安心を、いつまでも」という経営理念のもと、SDGs(持続可能な開発目標)達成への貢献の観点をふまえ、ご契約者への還元を最大化するため資産運用による収益性を確保しつつ、ESG投融資を通じて、グローバルな環境・社会課題の解決と国内地域経済活性化等の地域貢献に注力します。責任ある機関投資家として、ステークホルダーへの社会的責任や公共的使命を果たしていくため、持続可能で希望に満ちた豊かな社会づくりに向けて資産運用を行なってまいります。
- ESG投融資方針(PDF 127KB)
ESG要素・課題の組込み
当社では、上場株式・債券・融資等の投融資判断において、資産特性に応じてESG要素(ESGに関する公開情報やESG格付等)の組込みを推進しています。同様に、投融資先とのエンゲージメント(対話)において、それぞれのESG課題を確認し、必要に応じて解決に向けた対応を働きかけるなど、投融資先の企業価値向上をめざしています。
E |
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---|---|
S |
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G |
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また、外部委託運用においても、委託先各社の運用戦略や資産特性も踏まえつつ、ESGに関する方針やESGインテグレーション、エンゲージメント、情報開示等の態勢について確認し、投資判断のプロセスに組み込んでいます。
ESG投融資の手法
当社は、ESG投融資の手法を以下のとおり定義のうえ推進しています。
ESG投融資手法 |
定義 |
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---|---|---|
ESGインテグレーション |
投融資プロセスへESG要素を体系的に組込み |
|
ポジティブ・スクリーニング |
ESG格付が高く、ESGの取組みが相対的に優れた業種・企業等を投融資先に選定 |
|
ESGテーマ型投融資 |
ESGの課題解決に貢献するテーマ性を持った投融資 |
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ESG債 |
グリーンボンド、トランジションボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド、ブルーボンド等 |
|
プロジェクトファイナンス・ |
再生可能エネルギー関連のプロジェクトファイナンス、設備投資(明治安田サステイナブルファイナンス含む)、ノンリコースローン等 |
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不動産 |
ESGに配慮した不動産取得、設備改修、不動産エクイティ・REIT投資等 |
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インパクトファイナンス |
社会や環境に対してポジティブなインパクトをもたらす投融資 |
当社は生命保険事業の公共性に鑑み、ネガティブ・スクリーニングとして、一般市民へ甚大な被害を与える兵器(クラスター爆弾、対人地雷、生物・化学兵器などの非人道兵器等)を製造する企業に対する投融資を禁止しています。
また、温室効果ガスの排出により気候変動への影響が大きい石炭火力発電・石炭採掘プロジェクトや、企業向けの石炭火力発電・石炭採掘設備の新設・更新、パーム油(パーム椰子殻)、輸入木質チップを燃料として使用するバイオマス発電所の新設・更新等を使途とする投融資は原則取り組まない方針としています。
なお、石油関連の上流工程(採掘プロジェクト等)への投融資残高はございません。
ESG格付を活用したスクリーニングやESG課題の解決を目的とした投融資先との対話を推進した結果として、当社投融資ポートフォリオのESGリスク※1は、改善が進んでいます。

※1企業のESG課題に係るリスク量から企業がマネジメントできているリスク量を控除し、差となる「未管理リスク」の絶対値でスコアを設定。投融資ポートフォリオのESGリスクスコアは、各投融資先のESGリスクスコアを投融資額で加重平均して算出
ESG投融資の推進
現中期経営計画期間(2024-2026年度)においても引き続きESG投融資を推進するとともに、社会や環境に対してポジティブなインパクトをもたらすことを目的とした「インパクトファイナンス」にも目標額を設定のうえ、積極的に取り組んでいきます。
前中期経営計画期間(2021年度-2023年度)では、ESG投融資計画8,000億円以上のうち3,000億円を脱炭素に貢献するファイナンス枠として設定し、2023年度末までに約5,700億円実行いたしました。現中期経営計画期間(2024年度-2026年度)は、3,000億円以上を目安に、脱炭素に貢献するファイナンスを引き続き推進していきます。
2024-2026年度の目標額 |
|
---|---|
ESG投融資額 |
8,000億円 |
うちインパクトファイナンス |
1,200億円 |
これまでの主な取組事例
ESG債
重要取組テーマ |
投融資事例 |
SDGsへの貢献 |
---|---|---|
ソーシャル(人権等) |
アジア開発銀行が発行するエデュケーションボンド 投資資金は未就学児教育の開発の一部として、教室の適切な設備、特別学級に関わる教員のトレーニングなど、アジア開発銀行加盟国におけるインクルーシブ教育のためのプロジェクト等に充当されます (2022年8月) |
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健康寿命の延伸 |
中米経済統合銀行が発行するスポーツボンド 投資資金は中米におけるアスリート教育やスポーツ施設の改修・建設等に用いられ、子どもや若者のスポーツの才能を伸ばすとともに、スポーツを通じた健康増進や経済の活性化の促進に役立てられます (2023年5月) |
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地方創生の推進 |
静岡県が発行するサクラ債(外貨建て国内債) 投資資金は「静岡県の新ビジョン 後期アクションプラン(2022~2025年度)」に基づいて実施される「地方創生を通じ未来世代を応援する」プロジェクト等に充当されます (2024年9月) |
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明治安田サステイナブルファイナンス
法人のお客さま等からの多様なESGファイナンスへのニーズにお応えし、ESGに資する取組みを後押しするため、「グリーンローン」「ソーシャルローン」「サステナビリティ・リンク・ローン」の3商品を対象とする包括的なESG融資フレームワーク「MYサステイナブルファイナンス」※1を制定し、2023年度から取扱いを開始しています。
2025年3月には、ESGファイナンスにかかる国際的な原則※2や国内のガイドライン※3の改定をふまえ、評価日時点において最新の原則等に適合する旨の第三者意見を再取得するとともに、フレームワーク名称を「明治安田サステイナブルファイナンス」に改名しました。
詳細は2025年3月24日付「『明治安田サステイナブルファイナンス』フレームワークの改定について」をご参照ください。
- 『明治安田サステイナブルファイナンス』フレームワークの改定について(PDF 276KB)
本フレームワークの概要
取扱商品 |
資金使途特定型:グリーンローン(GL)、ソーシャルローン(SL) |
---|---|
第三者意見の取得 |
株式会社格付投資情報センター(R&I)より、各々対応する原則等に適合している旨の第三者意見を2025年3月24日付で取得 |
対応するSDGs目標 |
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※12022年12月29日付「『MYサステイナブルファイナンス』フレームワークの制定について」をご参照ください「MYサステイナブルファイナンス」フレームワークの制定について(PDF 503KB)
※2グリーンローンは「グリーンローン原則」、ソーシャルローンは「ソーシャルローン原則」、サステナビリティ・リンク・ローンは「サステナビリティ・リンク・ローン原則」。いずれもローン市場協会、ローン・シンジケーションズ・アンド・トレーディング協会、アジア太平洋ローン市場協会が策定
※3「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン」
不動産
重要取組テーマ |
投融資事例 |
SDGsへの貢献 |
---|---|---|
脱炭素 |
明治安田生命新宿ビル 自然エネルギーの活用やエネルギーロスを抑制する高効率設備の採用等によりCO2排出量を削減するほか、イベント開催や災害時の帰宅困難者受入れに活用できるホールを設置することで地域社会へ貢献します (2021年8月) |
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明治安田生命名古屋駅前ビル 日射遮蔽や雨水利用により、電力と水道使用量を軽減する計画です。再生可能エネルギーの導入を予定しているほか、太陽光発電を外部照明に利用するなど、電力使用によるCO2排出量を削減します (2023年5月) |
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インパクトファイナンス
重要取組テーマ |
投融資事例 |
SDGsへの貢献 |
---|---|---|
脱炭素社会の実現 |
NextGen ESG Japan ファンド 株式会社SDGインパクトジャパンと当社と明治安田アセットマネジメントが共同で組成し、投資先企業との対話を通じて創出する社会的インパクトにフォーカスした、アジア初のSFDR9条に準拠したESGエンゲージメントファンドです (2022年3月) |
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健康寿命の延伸 |
東京ウェルネスインパクトファンド 医療・介護等の社会課題の解決に官民協働で取り組む新しい金融の流れを加速すること、心身ともにいきいきと暮らせる社会づくりに貢献することを目的として東京都が創設したソーシャルインパクト投資ファンドです (2023年3月) |
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脱炭素社会の実現 |
明治安田ホール福岡 電力に地産地消型の再生可能エネルギーを導入しているほか、「こころの健康」や「からだの健康」に関するイベントを定期的に開催し、地域の方々の健康意識や健診受診率の向上を通じて、健康寿命の延伸を後押します (2023年8月) |
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スチュワードシップ活動
当社は、「責任ある機関投資家」の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》を受け入れています。
株式投資にあたっては、「スチュワードシップ責任を果たすための方針」を定め、投資先企業との対話や議決権行使といったスチュワードシップ活動を通じて、投資先企業の企業価値向上を促し、これに伴う当社の株主としての利益を長期的かつ安定的に享受することに努めています。
また、社債権者として、2020年度より国内社債の発行体との対話を行なっています。
なお、こうしたスチュワードシップ活動の状況について定期的に公表しています。
スチュワードシップ責任を果たすための方針(PDF 193KB)

対話および議決権行使の状況
【活動状況】
- スチュワードシップ活動の状況について(2023年7月~2024年6月)(PDF 2.70MB)
- スチュワードシップ活動の状況について(2022年7月~2023年6月)(PDF 3.60MB)
-
- スチュワードシップ活動の状況について(2021年7月~2022年6月)(PDF 4.31MB)
- スチュワードシップ活動の状況について(2020年7月~2021年6月)(PDF 2.90MB)
- スチュワードシップ活動の状況について(2019年7月~2020年6月)(PDF 2.50MB)
- スチュワードシップ活動の状況について(2018年7月~2019年6月)(PDF 2.61MB)
- スチュワードシップ活動の状況について(2017年7月~2018年6月)(PDF 1.94MB)
(上記の資料表紙には、「2021年7月~2022年6月」分には対象期間始の年度(2021)、「2022年7月~2023年6月」以降は対象期間末の年度を記載)
【議決権行使】
- ■判断基準
投資先企業の株主総会議案については、当社ルールに則り、適切に議決権を行使しています。
- (2025年4月1日以降適用)議決権行使への取組みについて(PDF 359KB)
- (2025年3月31日まで適用)議決権行使への取組みについて(PDF 349KB)
- ■行使結果
年度 |
第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
---|---|---|---|---|
2024年度 |
■(PDF 19.4MB) |
■(PDF 1.05MB) |
■(PDF 794KB) |
- |
2023年度 |
■(PDF 19.7MB) |
■(PDF 985KB) |
■(PDF 884KB) |
■(PDF 3.03MB) |
-
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
2022年度
■
(PDF 18.8MB)■
(PDF 1.00MB)■
(PDF 847KB)■
(PDF 2.84MB)2021年度
■
(PDF 19.4MB)■
(PDF 1.14MB)■
(PDF 994KB)■
(PDF 2.85MB)2020年度
■
(PDF 21.6MB)■
(PDF 1.59MB)■
(PDF 1.09MB)■
(PDF 2.67MB)2019年度
■
(PDF 2.07MB)■
(PDF 1.61MB)■
(PDF 1.29MB)■
(PDF 4.43MB)2018年度
-
■
(PDF 1.30MB)■
(PDF 1.17MB)■
(PDF 3.78MB)- 2017年7月~2018年6月株主総会 (特別勘定)(PDF 319KB)
- 2018年6月株主総会 (一般勘定)(PDF 480KB)
イニシアティブへの参画
- 当社は、グローバルなネットワーク構築や外部知見を活用し、責任投資の高度化を推進することを目的に、国内外のイニシアティブに署名しています。
外部評価
PRI年次評価結果
2024年11月にPRIから、2023年度の活動報告(対象期間2023年1月~12月)の評価を受領いたしました。当社は、評価対象2分野について昨年に引き続き2年連続で最高評価の5つ星を獲得しました。
分野 |
内容 |
当社評価 |
---|---|---|
ポリシー・ガバナンス・戦略 |
責任投資やスチュワードシップにおける方針、ガバナンスおよび戦略 |
★★★★★ |
報告書の信頼醸成措置 |
報告書記載項目・データの検証 |
★★★★★ |
環境省主催「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」投資家部門(アセットオーナー部門)受賞
<2024年 銅賞>

<選定理由>
- すべての運用資産の投融資プロセスへESG投融資手法を組み込み、高度化を推進している。脱炭素のみならず、生物多様性や地方創生など多様な観点での取組みを実践している点が評価された。
- 中期経営計画ではさらなるサステナブルファイナンスの拡大が掲げられており、意欲的な姿勢が確認できた。
- 今後、こうした一連の取組みを通底する戦略や方針の提示が期待される。
<2023年 特別賞>

<選定理由>
- 株式会社SDGインパクトジャパンとの提携によって、ESG視点での企業評価・エンゲージメント手法などに関するグローバル水準の知見を取り入れており、今後のレベルアップにも期待できる点が評価された。