TOP 生命保険の選び方のポイント 入院給付金とは?日額はどのように決めればいい?
入院給付金とは?日額はどのように決めればいい?

入院給付金とは?日額はどのように決めればいい?

医療保険

多くの医療保険で給付される「入院給付金」は、どのような場合に受け取ることができるのでしょうか?また、公的医療保険の給付もあるなか、いざというときの入院費用に備えるためには、入院給付金の日額をどのくらいにしておけばいいのかも気になります。そこでここでは、入院給付金の内容と、日額を設定する際の考え方、目安となる金額をご紹介します。

入院給付金とは?

入院給付金とは、医療保険の被保険者が病気やケガで入院した場合に受け取れる給付金のことです。入院した日数に応じて、設定した日額給付金を受け取れるものが一般的です。これ以外にも、入院すると一時金が受け取れるものなど、保険商品によって入院給付金の受け取り方はさまざまです。

保障される入院日数には限度がある

医療保険では通常、1回の入院に対して給付金が支払われる上限(1入院の支払い限度日数)や通算の支払限度日数が設定されています。1入院の支払い限度日数が60日の医療保険に入っている人が100日入院したとしても、入院給付金の支払いは60日分となります。また、前回の入院から180日以内に同じ病気が原因で入院した場合は、継続した1回の入院とみなされるのが一般的です。しかし商品によっては、退院後30日経過すれば同じ傷病でも新たな入院とみなして給付金が支払われるものなどもありますので、加入前に確認しましょう。

入院給付金が支払われないケースもある

入院給付金が支払われるのは、病気やケガの治療を目的に入院をしたときです。健康診断や人間ドック、美容整形のための入院は入院給付金の給付対象外となります。

入院費用のうち自己負担となるもの

病気やケガで入院すると、どのようなものにお金が必要になるのでしょうか?自己負担となるものは以下の通りです。

  • 公的医療保険(保険診療)の自己負担額
  • 先進医療の技術料
  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事代(入院時食事療養費)
  • 日用品や衣類など入院時に必要なものの雑費
  • 家族がお見舞いする際の交通費 など

公的医療保険の保障を活用しよう

保険診療で1ヵ月(1日から月末まで)の自己負担額が高額になったときは、公的医療保険の高額療養費制度を利用すれば、支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。また、年に3回以上高額療養費を受給した場合、4回目以降は「多数回該当」が適用されて、自己負担限度額がさらに引き下げになります。高額療養費をしっかり活用することで、患者の経済的負担は軽減します。入院給付金日額を設定するときは、高額療養費を活用することを前提に設定するとよいでしょう。

差額ベッド代の目安

差額ベッド代とは、入院時に個室や少人数部屋を希望した場合に徴収される費用のことで、全額自己負担となります。差額ベッド代としてかかる費用の平均額は以下の通りです。

<表1>1日当たりの差額ベッド代の平均額(2019年7月1日現在)
1日当たり平均徴収額
1人室 8,018円
2人室 3,044円
3人室 2,812円
4人室 2,562円
全平均 6,354円
出典:厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会(2020年9月16日)「主な選定療養に係る報告状況」を元に作成

この表によると、個室の差額ベッド代は1日平均8,018円、全体の平均額では1日6,354円となることから、入院日数が長くなれば、まとまった出費が必要になることが予測できます。

入院中の食事代は一部が自己負担

入院中の食事代は、標準負担額として1食当たり460円を支払い、残りを加入する健康保険や国民健康保険が「入院時食事療養費」として負担します。低所得者は標準負担額が軽減されます。ただし、1日3食で1,380円支払うことになりますから、入院が長引けば負担額は大きくなります。

入院時に必要となる雑費

入院することになると、パジャマや着替え、タオル類、洗面用具などの日用品が必要になります。また、病院によってはテレビを観るのにプリペイドカードの購入が必要になることもあります。さらに、家族が見舞いに来る際の交通費やガソリン代、駐車場代などの出費も発生します。

入院給付金の日額はいくら必要?

入院給付金の日額を考えるときは、自己負担分の目安を知っておくとよいでしょう。そのとき参考となる調査があるのでご紹介します。

生命保険文化センターが実施した2019年度「生活保障に関する調査」によると、「直近の入院時の1日当たりの自己負担費用」として次のような結果が出ています。

<図1>入院時の1日当たりの自己負担費用
<図1>入院時の1日当たりの自己負担費用
  • ※集計ベース:過去5年間に入院し、自己負担費用を払った人(高額療養費制度を利用した人+利用しなかった人(適用外を含む)
  • ※治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)や衣類、日用品などを含む。高額療養費制度を利用した場合は利用後の金額
出典:(公財)生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」より

上記の調査によると、平均では1日あたり23,300円、最も回答が多かったのは「10,000~15,000円未満(24.2%)」でした。1日1万円あれば、多くの場合、食事代と差額ベッド代は賄えるのではないでしょうか。

入院日額の考え方

病気やケガで入院したときの経済的負担を賄ってくれるのが入院給付金です。ただし、差額ベッド代などの費用をすべて入院給付金で賄おうとして日額を高めに設定すると、医療保険の払込保険料が高額になります。家計に支障のない範囲で入院給付金の日額を考えましょう。

ただ、自営業者など国民健康保険に加入している人には、会社員が病気やケガで仕事を休んだ場合に給付される傷病手当金がありません。そのため、収入が途絶えることも加味して入院給付金の日額を考えましょう。